症例報告

胆嚢原発腺内分泌細胞癌の1例

本庄　広大¹　　　奈良橋喜芳¹　　　前田　一郎¹
小池　淳樹¹　　　田所　　衛¹　　　佐藤良太郎²
窪田　　倭²

(¹聖マリアンナ医科大学診断病理学，²同　一般外科)

要旨: 症例は70歳，男性。腹痛を主訴に受診，精査目的で入院となった。画像検査では胆嚢底部に3 cm大の充実性腫瘤が認められた。胆嚢悪性腫瘍が疑われ，胆嚢摘出術が施行された。腫瘍は粘膜下腫瘍と粘膜病変から構成されていた。粘膜下腫瘍の大部分は内分泌細胞癌から成り，この内腔側を粘膜病変としての腺癌が覆う特異な形態を呈していた。本腫瘍が内分泌細胞癌成分と腺癌成分が混在する腫瘍であることから，我々は，本腫瘍を腺内分泌細胞癌と診断した。今回，組織発生の観点で興味深い症例を経験したので，文献的考察を加えて報告する。

キーワード: gallbladder, adenoendocrine cell carcinoma, mixed endocrine-exocrine carcinoma

Adenoendocrine cell carcinoma of the gallbladder, a case report

Kodai Honjo¹, Kiyoshi Narahashi¹,Ichiro Maeda¹, Junki Koike¹, Mamoru Tadokoro¹, Ryotaro Sato², and Sunao Kubota²

Departments of ¹Diagnostic Pathology and ²Surgery, St. Marianna University School of Medicine

(論文受付 2005年12月21日)

(採用決定 2006年 2月17日)