症例報告

ヘモジデリンの沈着を確認できた糖尿病性基底核障害の1剖検例

高橋さつき¹　　　齊藤　昌宏¹　　　木村　啓二²
  古田　　進^3,4

(¹秋田県厚生連平鹿総合病院病理診断科，²同　第二内科，³同　放射線科，
⁴現仙台社会保険病院放射線科)

要旨: 糖尿病性基底核障害の発症機序についての検討は，ほとんどが画像診断に基づいており，病理組織学的考察はごくわずかである。糖尿病性基底核障害を示した60歳男性の肺扁平上皮癌症例で基底核病変を検証したところ，被殻・尾状核にヘモジデリンの沈着が認められ，微小出血が推測された。微小血管病変を思わせる，毛細血管壁の硝子様変化や糸球体係蹄様の構造も観察された。動脈瘤の形成，グリア瘢痕や石灰化などは見られなかった。

キーワード: putamen, distonia, chorea-hemiballism, diabetes mellitus, histology

Hemosiderin precipitation in basal ganglia on an autopsy case of diabetic chorea

Satsuki Takahashi¹, Masahiro Saito¹, Keiji Kimura², and Susumu Furuta³
Departments of ¹Diagnostic Pathology, ²Internal Medicine, and ³Radiology, Hiraka General Hospital
⁴Sendai Social Insurance Hospital

(論文受付 2005年11月 8日)

(採用決定 2006年 2月 1日)