症例報告

組織型の異なる壁在結節を有した卵巣粘液嚢胞腺癌の3例

小野　晃子¹　　　小泉　宏隆¹　　　干川　昌弘¹
阿部　光文^1,2　　　田所　　衛¹

(¹聖マリアンナ医科大学診断病理学，²町田市民病院病理検査室)

要旨: 組織型の異なる壁在結節を有する卵巣粘液嚢胞腺癌例を3例経験したので報告する。症例1には壁在結節が13個存在し，全て反応性のいわゆるsarcoma-like mural noduleより形成されていた。症例2には症例1とは異なる組織型の反応性結節が11個存在し，うち1個には退形成性癌の微小胞巣が混在していた。また，症例3にみられた3個の壁在結節は全て退形成性癌で構成され，術後早期に局所再発とリンパ節転移を起こした。これらの症例は壁在結節の多彩な形態を理解するうえで重要であると考えられた。

キーワード: ovary, mural nodule, mucinous cystadenocarcinoma, sarcoma-like mural nodule (SLMN), anaplastic carcinoma

Three cases of ovarian mucinous cystadenocarcinoma with distinct histologic types of mural nodules

Akiko Ono¹, Hirotaka Koizumi¹, Masahiro Hoshikawa¹, Mitsubumi Abe^1,2, and Mamoru Tadokoro¹

¹Department of Diagnostic Pathology, St. Marianna University School of Medicine
²Department of Pathology, Machida Municipal Hospital　

(論文受付 2005年 8月 2日)

(採用決定 2005年10月20日)