症例報告

脊髄アスペルギルス症と脊髄癆を合併した統合失調症の1例

近藤　武史¹　　　北澤　理子¹　　　三宅　雅人²
北澤　荘平¹

(¹神戸大学大学院医学系研究科生体情報医学講座分子病理学分野，²有馬病院)

要旨: 脊髄アスペルギルス症と神経梅毒（脊髄癆）を合併した統合失調症の1剖検例を経験したので報告する。症例は60歳代男性で28歳時に統合失調症を発症し，長期間加療されていた。死亡の2ケ月前より坐骨部痛を生じ，その後歩行不能になった。更に膀胱直腸障害・両下肢麻痺・左上肢麻痺などの多彩な神経症状が出現した。病理解剖により脊髄には馬尾を中心に真菌塊を認め，それに加え脊髄癆の組織変化を認めた。これらによる神経障害が末期の多彩な神経症状を惹起したものと考えられた。

キーワード: spine, cauda equina, aspergillosis, schizophrenia, autopsy case

A case of schizophrenia with spinal aspergillosis and tabes dorsalis

Takeshi Kondo¹, Riko Kitazawa¹, Masato Miyake², and Sohei Kitazawa¹

¹Division of Molecular Pathology, Kobe University Graduate School of Medicine
²Arima Hospital　

(論文受付 2005年11月22日)

(採用決定 2005年12月22日)