症例報告

食道粘膜下腺腫の1症例

　南野　桂三^1,2　　　足立　　靖^1,3　　 植村　芳子⁴ 
 坂井田紀子⁴　　　  草深　公秀¹　　　 長岡　三穂⁵
 鈴木　康弘¹　　　  岩崎　真佳¹　　　 松村　美代²
  池原　　進¹

(¹関西医科大学第一病理，²同　眼科，³同　病理解剖，⁴同　中検病理，⁵同　心療内科)

要旨: 食道に発生する良性腫瘍は，平滑筋腫が主であり腺腫はまれである。我々は，76歳男性の解剖時に偶然発見された食道腺腫を経験した。腺腫は，下部食道に認められ，粘膜下腫瘍の形態を呈していた。周囲の粘膜上皮にバレット上皮や異所性胃粘膜などの円柱上皮は認められず，組織学的には2層性の上皮を伴い乳頭状増殖を伴う嚢胞状の拡張を示す大小の腺腔が認められ，食道腺の導管由来の漿液性嚢胞腺腫と考えられた。

キーワード: esophageal submucosal adenoma, esophagus, serous cyst adenoma, submucosal tumor

A case of submucosal adenoma of the esophagus

Keizo Minamino^1,2, Yasushi Adachi^1,3, Yoshiko Uemura⁴, Noriko Sakaida⁴, Kimihide Kusafuka¹, Miho Nagaoka⁵, Yasuhiro Suzuki¹, Masayoshi Iwasaki¹, Miyo Matsumura², and Susumu Ikehara¹

¹First Department of Pathology, Departments of ²Ophthalmology, ³Anatomical Pathology, ⁴Surgical Pathology, and ⁵Psychometric Medicine, Kansai Medical University

(論文受付 2005年 8月24日)

(採用決定 2005年11月28日)