症例報告

先天性高分化胎児型横紋筋肉腫の1例

上杉　憲子¹　　　岩崎　　宏²　　　中島　　収¹

(¹国立病院機構九州医療センター検査科病理臨床研究部，²福岡大学医学部病理学教室)

要旨: 胎児型横紋筋肉腫は，未分化な間葉系細胞の増殖からなり，種々の程度に横紋筋に分化をしめす腫瘍であり，小児の頭頸部や泌尿生殖器に多く発生する。先天性の症例もまれに報告される。本症例は生下時より後頸部に7×3 cmの腫瘤が認められたが，画像診断上良性といわれたため，経過観察され，1歳時に腫瘤核出術が施行された。組織は横紋筋腫とよく似た，非常に高度に分化した横紋筋腫瘍であった。一部に未分化間葉系の細胞の増殖や粘液腫状の部分が散見され，横紋筋肉腫との診断にいたった。

キーワード: neck, embryonal rhabodomyosarcoma, congenital, well differentiated

A case of congenital well differentiated rhabdomyosarcoma

Noriko Uesugi¹, Hiroshi Iwasaki², and Osamu Nakashima¹

¹Pathological Section and Clinical Research Institute, National Hospital Organization Kyushu Medical Center
²Department of Pathology, School of Medicine, Fukuoka University　

(論文受付 2005年11月25日)

(採用決定 2006年 1月 4日)