症例報告

急速な増大がみられた乳房の筋線維芽細胞腫の1例

飯原久仁子¹　　　小川　高史²　　　藤岡　保範¹
坂本　穆彦¹

(¹杏林大学医学部病理学教室，²香川大学医学部病理病態・生体防御医学講座炎症病理学教室)

要旨: 乳房の筋線維芽細胞腫は稀な腫瘍で，男性に多い傾向があるとされ，径10 cmまで達することがある。画像で葉状腫瘍が疑われ，経過観察されたが，急速な増大がみられ手術された1例を報告する。50歳女性，右乳房の腫瘤に気付き近医受診後，精査目的にて入院した。受診時，右上内側領域に可動性のある径4.2 cm大の腫瘤を触れ，1ケ月後には径8.0 cm大に増大し，手術が施行された。組織学的に腫瘤は周囲との境界が比較的明瞭で，線維芽細胞様細胞の充実性の増殖がみられた。腫瘍細胞は淡好酸性の細胞質を有する紡錘形細胞で核異型は認めないが，少数の分裂像を認めた。免疫組織化学にてα-SMA陽性で，筋原性の性格がみられ筋線維芽細胞腫と診断された。筋線維芽細胞腫は稀な腫瘍であり，本例は急速な増大がみられ，悪性腫瘍との鑑別を要した症例であり，文献的考察を加え報告する。

キーワード: myofibroblastoma, breast rapid growth, solitary fibrous tumor

A case of myofibroblastoma showing rapid growth of the breast

Kuniko Iihara¹, Takashi Ogawa², Yasunori Fujioka¹, and Atsuhiko Sakamoto¹

¹Department of Pathology, Kyorin University School of Medicine, ²Department of Pathology and Host Defense, Faculty of Medcine, Kagawa University

(論文受付 2005年10月25日)

(採用決定 2006年 1月 5日)