EVG染色精度管理事業報告
【質問事項】1.EVG染色を行う際の脱水透徹時の注意(脱色されやすさや時間)についてお教え下さい.
2.日常業務において様々な特殊染色を行う場合,染色系列(脱水透徹系列)はどの様に使い分ければ良いのでしょうか.
【回答】
1.EVG染色で脱水・透徹時に流出しやすい色素は酸性フクシン,ピクリン酸が挙げられます.酸性フクシンは水に流出しやすいため,脱水時の低濃度のアルコール環境で流出し易く,ピクリン酸は低濃度のアルコールおよびキシレンに流出し易い性質を持っています.特にピクリン酸は透徹時のキシレン内でも時間経過とともに色素の流出がみられるため,脱水・透徹操作は3~5分以内を目安に行うことが望ましいと思います.
2.染色の種類ごとに専用の系列を使うのが大原則と記されている著書や,常に新しい溶液を使用するに越したことはないが,毎回取り換える必要もないとする著書もあり,特に決められてはいないのが現状です.
原則として脱水・透徹系列は色素が流出し易い染色と,色素が流出し難い染色で使い分けることが望ましいとされています.酸性色素を使用している染色法では脱水時のアルコールが低濃度になっている場合に色素が流出しやすく,液槽が着色され切片の背景にも着色する原因となります.また,EVG染色で用いるワンギーソン液も同様に酸性フクシンやピクリン酸が流出し易く,ピクリン酸に関しては,キシレンにも色素が流出し,さらにヘマトキシリンに対して脱色(分別)作用があるため,染色性の低下の原因となることから同一系列で使用することは避けるべきです. 基本的には液槽に色素による着色が見られた場合は液槽内の溶液交換を推奨します.