EVG染色の原理と染色のポイント
【質問事項】1.レゾルシンフクシンとビクトリアブルーはいずれも弾性線維を染めますが,染色の機構や染色結果の特性に違いがあればお教え頂けないでしょうか.
【回答】
1.ビクトリアブルーの化学構造(考察)及び染色機構や染色結果
弾性線維染色用にビクトリアブルーやレゾルシンなどから調製されるビクトリアブル
ーの化学構造は不明と思われます。図1のごとく、レゾルシンフクシンの原料として使用されるフクシンとビクトリアブルーはその化学構造が類似し、またその他の調製試薬や調製法が類似しているので、レゾルシンフクシン同様調製された反応生成物としてのビクトリアブルーもその化学構造は原料色素ビクトリアブルーの二、三、四量体混合物であると考察されます。
両色素とも基本的には同じ機序(ファンデルワールス力、疎水結合などが関与)で弾性線維を染色すると考察されます。しかし図1の化学構造ないし官能基から推察しますと、レゾルシンフクシンよりベンゼン環が多いビクトリアブルーの方は少し親油性が強く、また非対称の構造をとっています。従いまして、レゾルシンフクシンよりビクトリアブルーの方が親油性のアミノ酸が多く構成するエラスチン蛋白質から成る弾性線維とより強く疎水結合で、またより強くファンデルワールス力で弾性線維を染め、レゾルシンフクシンより特異性ないし選択性に優れ、共染のリスクが少ないと考察されます。またビクトリアブルーは弾性線維を濃青色に染め、他の部位とのコントラストが優れた染色標本になると思われます。
