免疫組織化学の評価と最新のupdate
【質問事項】
1.オンスライドコントロールを拝見しましたが,コンパクトなマルチコントロールを作製されておりました.ブロックに使う組織は何を何種類くらい選んだらよいですか.

2.当院ではコントロールを載せていますが,稀有な陽性を示すコントロールの種類が増え続けることに悩んでおり,またそういった症例を集めるのにも苦慮しています(例えば脳腫瘍など貴重な材料の場合全包埋されてしまう).陽性パターンが限られるような免疫染色のコントロールはどのようにされていますか.

3.p53の細胞質への染色像についてのお話ですが(お示しになった参考論文を読んでなくて申し訳ございません),p53抗体はクローンによって認識部位が少しずつ違うと思いますが,どれを使ってもそのような像になるのでしょうか?クローン別に検討した論文はないのでしょうか

4.神戸大学病院では全ての免疫染色に対してオンスライドコントロールを実施しているのでしょうか.

【回答】
1. http://immuno2.med.kobe-u.ac.jp/2009/07/14/multi-tissue-control-block-sausage-block-spring-roll-block-ham-block%e3%81%ae%e4%bd%9c%e8%a3%bd%e6%96%b9%e6%b3%95/
をご参照ください.
組織の種類:
扁桃:扁平上皮,リンパ装置が含まれ,上皮性マーカー,リンパ球系マーカー,樹状細胞マーカーなど様々なものに用いることができる.
甲状腺:TTF-1やthyroglobulinなど
肺:TTF-1,PE10など
膵尾:内分泌系,ホルモンなど
肝,特にB型肝炎:HepPar1やHBsなど
大腸:CK20やαSMAなど
前立腺:PSA, p63, 34βE12など
子宮筋層:平滑筋系,ER,PRなど
胸腺腫:TdTなど
脳:synaptophysin, GFAPなど
羊膜:上記組織を包む

2.コントロールもコレクションです.ただ,固定して保管すれば過固定になります.適切な固定状態にあるものを小さく切ってPBSに移し,冷蔵庫で保管すれば少なくとも半年程度はよい固定状態のまま保管ができます.これで適切なコントロールをコレクションするのみです.

3.異常蛋白そのものの局在がかわりますので,p53の認識部位とは関連性は今のところないと思います.

4.原則すべての免疫組織化学に行っています.

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