病理細胞診検査における医療安全への取り組み ~画像撮影の活用~
【質問事項】
1.免疫染色装置のスクリーンショットを記録することの狙いについて,もう少し詳しく教えて頂けますでしょうか.また,免疫染色の染色不良が大量に発生した事例をご紹介頂いておりましたが,その中で画像記録の対策がどのように有用であったか,教えて頂けますでしょうか.

2.リスクマネジメントは「文化」だという熱量が大変に伝わってまいりました.当院でも,種々の作業工程の中での画像記録を導入しておりますが,常に効率の良い記録機器の配置に苦慮しております.そこで機器配置や実際作業場行う場でのレイアウトについて何か工夫された点等がありましたらお聞かせください.


【回答】
1.免疫染色装置のスクリーンショットの狙いは,免疫染色の作業記録と紐づけていることが一番です. スライド上で報告したトラブルはどの染色装置で起こったかが大変重要になった例でした.一例は,試薬のセットを間違えていた例,EZPrepとリアクションバッファーの入れ間違い.もう一方は,装置のスタート忘れです.複数の装置で染色した際に,どの装置で問題があったかを特定するための補助手段としています.

2.作業スペースには限りがあり,すでに作業効率を考えてレイアウトされている中で,新たな機材の設置は難しい問題だと思います.当院でも,どのように記録機器を配意するかは悩ましい問題でした.私個人としては,記録機器の配置で大切なことは,「角度」と「距離」であると考えております.その為,空間の利用がポイントになるのではと考えております.対象機器の周りにラックや棚を設置することで,アームなどの付属機器を使用し,そこから作業スペースに伸ばすようにして,記録装置を設置しております.作業環境的には転倒防止策などの対策が必要となるかもしませんが,ラックや棚も作業スペースに合わせて設計すると,収納が増えたりしますので,良い方法ではないかと思っております.参考にしていただければ幸いです.

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