膵臓の細胞診 ~EUS-FNAから~
【質問事項】
1.細胞診処理に於いて,サイトリッチレッドは核酸保持性能に於いて好ましくない研究を見受けます.対策や工夫はありますでしょうか.

2.先生はLBCをおすすめされておられますが,通常の細胞診標本でも遺伝子解析はマイクロダイセクション,免疫染色は転写方法で可能ですが,LBCのほうが良いという意味でしょうか.癌細胞のも収集すると言う意味では,ダイセクションのほうが良い場合もありますが.固定は同じアルコールベースですし,LBCの残りのなかに腫瘍細胞がのこっていない場合もありますので,遺伝子にはLBCご推奨の意義をおおしえください.


【回答】
1.
当院では膵領域のROSEを行っておらず、検体の回収率が問題に挙がりました。対策として検査室で組織、細胞診用に検体を分けています。ご質問のように、提出時の保存液としてサイトリッチレッドを採用するにあたり、核酸への影響は懸念されました。そこで、核酸保持のために、①採取後、直ちに提出、②組織診用検体は直ちにホルマリン固定を行い、③組織でのみを遺伝子解析の対象としております。今のところ、このFFPEからは問題なく核酸抽出が出来ております。ただ、この細胞診検体からは核酸抽出は行っておらず、この詳細な核酸への影響は把握できておりません。この影響については今後の課題とさせてください。
ご質問ありがとうございました。

2.
当院では、検体回収率を上げるために、組織検体、細胞診検体の全てをサイトリッチレッド保存液へ入れて提出しています。そこから組織用、細胞診用に分けて標本作製を行っております。遺伝子検査に対象としているのは組織のみとしております。治療方針決定には組織型確定が必須になりますので、組織診を優先して検体を分けております。
細胞診においてLBC(サイトリッチレッド法)を用いているのは、組織標本作製を優先し、その作製に難しい微小検体でも作製が容易なために用いております。
ご質問ありがとうございました。

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