PAS反応の安定化のための提案
【質問事項】
1.溶液濃度の簡単な調整法についてわからなかったので、詳しく教えて頂きたいと思います.

2.シッフ試薬についての質問ですが、①シッフ試薬は冷蔵庫で保管すると、染色後にピンク色になっていても元の透明にもどりますが、染色性とシッフ試薬の色が透明であることは関係ないのでしょうか。②シッフ試薬の温度が何度くらいになると染色性が安定するのでしょうか。③染色を行わなくても空気に触れていることや室温の置くことで、シッフ試薬はピンク色になるのでしょうか。④シッフ試薬に色がつくと染色性が低下しているように思うのですが、考え方あっているのでしょうか.


【回答】
1.溶液濃度の簡単な調整法についてわからなかったので、詳しく教えて頂きたいと思います.
組織標本の作り方
慶応義塾大学医学部病理学教室 編 4版に書かれたページを以下に示します。



2.シッフ試薬についての質問ですが、①シッフ試薬は冷蔵庫で保管すると、染色後にピンク色になっていても元の透明にもどりますが、染色性とシッフ試薬の色が透明であることは関係ないのでしょうか。②シッフ試薬の温度が何度くらいになると染色性が安定するのでしょうか。③染色を行わなくても空気に触れていることや室温の置くことで、シッフ試薬はピンク色になるのでしょうか。④シッフ試薬に色がつくと染色性が低下しているように思うのですが、考え方あっているのでしょうか.

①亜硫酸ガスがぬけると着色してくるので透明でないと染色性に影響はあります。
染色後ピンクになるのは結露による影響が考えられます。
②10℃以上だと安定すると思いますが亜硫酸水素ナトリウムの効果がなくなると徐々に染色性が弱くなってきます。そこで、シッフ試薬使用液は室温に置き染色ローゼにラップをかけ、できるだけ亜硫酸ガスがぬけないようにしておき染色する際に50mlに対して耳かき一杯の亜硫酸水素ナトリウムを加えて染色することを提案します。着色したものでも直ちに染色性は回復します。
③染色を行わなくても亜硫酸ガスはぬけていくので着色します。
④シッフ試薬に色がつくと染色性は低下します。
考え方はあっています。


【追加のご発言】
シッフ試薬の亜硫酸水素ナトリウムの濃度はホットシッフで約0.5% コールドシッフ(リリー)の処方で約2%です。今回の実験で、どちらも劣化シッフ試薬に0.1%の割合で亜硫酸水素ナトリウムを添加すれば染色性は直ちに回復することを確認したので染色のつど加えれば安定した染色性が得られると考えられます。PAS反応の不安定な要因は温度と亜硫酸水素ナトリウムの効果が影響しているものと思われます。
室温に置いたシッフ試薬は劣化速度が速いので無色透明でも染色性は低下していることがあります。無色透明でもその都度、亜硫酸水素ナトリウムを加えることは、PAS反応の安定化につながります。

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