美しいHE染色標本を作製する
【質問事項】
1.今回の調査を通じて、各々の脱灰法において推奨される条件はどの様にお考えでしょうか。また、それらの脱灰法実施における注意やポイントはどのようにお考えでしょうか。


【ご回答】
1.今回の調査を通して、酸やキレート剤を用いた数種類の脱灰液にて脱灰された試料のHE染色標本を評価させていただきました。標本の評価結果からは脱灰液の種類による染色性の違いよりも、それぞれの脱灰液の適切な脱灰時間、あるいはなるべく短時間で脱灰を終えることが良好な染色性に寄与すると考えます。そのためには、脱灰前に適切な厚さにスライスし、十分に固定、脱脂を行うこと。十分な量の脱灰液を用いて常温で攪拌しながら脱灰する。こまめに脱灰の進行状況をチェックしながら、脱灰完了のタイミングをはかることが肝要です。また、無機酸脱灰液を使用した際は、結合組織の膨化を防ぐために中和操作を行うことも良好な染色性を得るために有用と考えます。

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