COVID-19剖検時の感染対策 -コロナ禍における病理解剖と解剖補助-
【質問事項】
1.剖検時にN95マスクを着用すると経時変化でゴーグル、フェイスシールド等がくもって、針刺しや切傷事故のリスクに至ることがあります。当院では、病理医1技師1で剖検を施行することから、ぎりぎりまで我慢してから中断しゴーグル、フェイスシールド等の手入れを行います。他に画期的なアイディアがあればご教示ください。

2.解剖の実施において、困った点(例えばPPEの供給不足など)や、今後さらに改善を要する点、実施において絶対気を付けるべき点などがございましたらご教授頂きたくお願い申し上げます。

【ご回答】
1.ご質問ありがとうございます.まず,N95マスクが顔にフィットしていない可能性があると思います.マスクのフィットテストを行い,フィットしていない場合は違うサイズのマスクに変更するのが良いと思います.場合によっては現在使用しているマスクとは形状が異なるマスクにするのも良いでしょう.次に,タイベックを着用しフル装備で作業を行う場合は,N 95マスクがフィットしていても,ゴーグルやフェイスシールドが汗などで曇ることがあります.装着前にゴーグルやフェスシールドの表面と裏面に曇り止めを塗ってみてください.

2.ご質問ありがとございます.物品の供給不足についてですが,当院では,マスクや手袋,PPEなどは日頃から院内感染対策室の方で備蓄や管理を行なっています.そのため,今回はなんとか,これらの物品が無くなることはなく,業務に大きな支障が出ることはありませんでした.一方,病理解剖では,COVID-19の感染拡大が始まった当初,立て続けに剖検が入り,剖検室の床や壁を養生するポリエチレン濾紙や布テープ付きコロナマスカーが足りなくなりそうになりました.それ以来,2,3体続けて剖検ができる量を備蓄するようにしています.次にCOVID-19の剖検で重要な点は常にアルコール消毒を行うことだと思います.執刀医,解剖補助の技師以外に,手を汚さず,常に汚染の有無を監視し,汚染した場合は直ちに消毒ができる外回りの要員を置くことが大切だと思います.

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