コロナ禍の細胞診検体の取り扱いと感染後の細胞像について
【質問事項】
1.Covid-19関連肺アスペルギルス症は確かに報告があるようですが,他の肺疾患との併存に比べて,Covid-19では頻度が高いのでしょうか.また,Afterコロナで細胞診上遭遇することが増えると予想されるものは他にありますか.

2.COVID検体でギムザ標本がどうしても必要な場合,塗抹乾燥後に安全キャビネット内で即座にメイグリュンワルド染色液で固定をすれば,ある程度,感染リスクを押さえて染色できますでしょうか.


【ご回答】
1.Covid-19関連肺アスペルギルス症(CAPA)について、まだ全容が解明されてはいませんが、 日本での報告では挿管患者の0.54%と特別多いというものではありません。しかし海外の Systematic reviewでは重症患者の約10%に発生すると言われており、死亡率は60%程度と高リスクな疾患と報告されています。
またCovid-19感染後は、症例でお示ししたような細菌感染や真菌感染に遭遇することは増えると思いますし、様々な肺炎に伴う細胞や間質性肺炎を示唆する細胞も増加すると思われます。

2.ギムザ標本がどうしても必要な場合、当院では安全キャビネット内でドライヤーを用いて乾燥標本を作成しますが、気流の乱れが起こるので安全キャビネット外にエアロゾルが出てくる可能性が高まります。ガウンなどを着用しキャビネットの扉を乾燥中は閉め、作成後はメタノール固定を行うかメイグリュンワルド液に漬ければ、感染リスクを抑えて作成できると考えます。

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