腎生検蛍光抗体法輸送液Michel`s Transport Mediumの紹介と運用
【質問事項】
1.NH 4 SO 4 がたんぱく分解酵素のinhibitorになり得る旨の発表だったかと存じますが,その根拠論文をご紹介いただけますと幸甚です.
【回答】
1.こちらの論文に,輸送液に使用されている試薬の作用機序などの記載があります.
Michel B, Milner Y, David K. Presevation of tissue-fixed immunoglobulins in skin biopsies of patients with lupuse erythematosus and bullous diseases preliminary report. J Invest Dermatol 1973: 59: 449.

【質問事項】
2.採取直後に凍結を行った検体と,保存液で保存後に凍結を行なった検体では,薄切,染色,観察等を行う際に注意点や差はあるのでしょうか.
【回答】
2.新鮮凍結検体と同様の手技で,薄切,染色,観察が可能です.注意点としては,検体が輸送液浸漬から洗浄の工程で水分を多く含むため,乾燥に注意して水分を拭い,包埋剤に十分馴染ませてから凍結包埋をすることです.

【質問事項】
3.保存液を使用した検体での,蛍光抗体法,特殊染色,酵素抗体法は実施可能との事でしたが,電子顕微鏡検査への使用は可能なのでしょうか.可能な際に所見等に違いはあるのでしょうか.
【回答】
3.オルガネラなど超微形態の観察は,輸送液浸漬時間に比例して難しくなります.詳細な検討は行っていませんが,今回の発表でお示ししたFabry病患者のゼブラボディの観察など,微細構造物の証明に利用できる可能性があります.


【追加の発言】
輸送液はあくまでも検体の保存液との認識をしていただき,検体処理においては未固定新鮮検体(生検体)の取り扱いに準じて行ってください.

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