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6価クロム化合物を使用しないPTAH染色法の検討

龍見重信

奈良県立医科大学附属病院 病院病理部


目的:6価クロム化合物を使用しないPTAH染色法の確立を目的に検討を行った。
方法:腎臓、心臓、脳の解剖症例を用いた。PTAH染色は「最新染色法のすべて」を対照(対照法)に、線維素および横紋染色を媒染に飽和ピクリン酸を用いた方法(和光法)、神経膠線維染色をManlow法と染色性を比較した。次に、和光法における各染色工程別の染色性への影響を比較した。また、神経膠線維染色では、標本の脱脂効果を検討した。
結果:すべての染色検討において、線維素および横紋筋の横紋は青藍色に染色された。しかし対照法では、基底膜、膠原線維および結合織線維に対する染色性は不良で、青藍色の共染も見られ、識別は困難であった。また、神経膠線維は青藍色に染色されたが、血管周囲の膠原線維などの染色性は不良で、青藍色の共染も見られ、識別は困難であった。和光法では、基底膜、膠原線維および結合織線維に対する染色性は良好であった。神経膠線維への染色性は、青藍色の共染も見られ、鑑別困難であった。和光法における各染色工程別の染色性への影響の検討結果として、37℃加温飽和ピクリン酸による媒染工程を行うことで、酸化還元工程は省略され、PTAH染色液を庫内温度62℃のパラフィン熔融器により加温1時間30分後、室温で放冷を30分行うことで、線維素、横紋および神経膠線維は良好に染色され、かつ、青藍色の共染がみられない染色結果が得られた。また、神経膠線維染色では、標本の脱脂を行うことで、染色性の増強が得られた。
考察:今後、染色メカニズムの解明および更なる検討が必要であるが、37℃に加温した飽和ピクリン酸による媒染15分の後、PTAH染色液を庫内温度62℃のパラフィン熔融器により加温1時間30分後,室温で放冷を30分行う新しいPTAH染色手技では、線維素、横紋および神経膠線維への染色性が良好であった。また神経膠線維染色では、標本の脱脂を行うことで、染色性の増強が得られた。


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