■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第98回日本病理組織技術学会 > 肺癌診療と病理診断の現状と今後

肺癌診療と病理診断の現状と今後

大林千穂

奈良県立医科大学病理診断学


近年、進行期非小細胞癌に対する分子標的治療薬が多岐にわたり、さらに免疫チェックポイント阻害薬が急速に広がり、肺癌患者の予後は従来の抗がん剤の時代から劇的に改善しつつある。2017年度版のガイドラインではEGFR、ALK、ROS-1, BRAFの遺伝子検査およびPD-L1蛋白発現の検査が強く推奨されており、これらはDNA、RNA, 蛋白と各々検査対象、検出方法が異なり、小さな組織や細胞検体を対象に、まず形態学的に腫瘍の存在を確認し、院内あるいは外注で適切な分子診断や免疫染色を実施し、患者が最適な治療を受けられるような、検体の管理と検査フローの構築、検査手技や判定の精度管理の受容性が高まっている。さらに、BRAF検査に対するコンパニオン診断として次世代シーケンサーが導入され、国家的なプロジェクトとしてゲノム診療拠点病院が指定され、ゲノム診断が加速するだろう。従来の概念から大きく変わろうとしている組織・細胞診断の現状について概説する。


例会抄録一覧へ戻る