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試薬の安全な取り扱い

岩田 勉

和光純薬工業株式会社


 病理検査では、ホルマリン、キシレン、重クロム酸カリウムをはじめ多くの試薬(化学物質)を日常的に使用しています。普段何気なく使用しているものでも、その取り扱いを一歩誤ると、火災爆発、健康障害、環境汚染等の事故に繋がることがあります。
 試薬を含めた化学物質起因の事故の多くは知識不足又は不注意が原因です。一方、化学物質の危険回避のために様々な法律が制定されています。試薬を安全に取り扱うには、法律を順守し、正しい取り扱いを常に行うことが肝要です。また過去の事故例を解析することは、危険有害性を知る有用な手段の1つです。
 本日は、試薬等による顕在・潜在する危険有害性に気付くことを目的として、法順守のポイント(消防法、毒物及び劇物取締法等)、実際に起こった事故例を交えて、事故防止の対策等について解説致します。その一例を下記に示します。
 知識が無かった為に、次亜塩素酸と塩酸を混ぜて塩素中毒を起こした、アジ化ナトリウムを金属スパーテルで扱い爆発したなどについて紹介致します。
 適切な保護具を使用していなかった為に、アルカリが眼に入り薬傷を負った、有機溶剤、粉塵を吸入し、中毒、塵肺となった事例を紹介し、適切な保護具とは何かについても説明させて頂きます。
 平成28年6月1日より労働安全衛生法が改正となり、化学物質を使用する前に危険性又は有害性の調査(リスクアセスメント)を実施することが法律的に求められています。この講演が病理検査に携っておられる皆様の安全対策の参考になれば幸いです。


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