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脂肪染色コンペ報告

山田正人
川島 徹

帝京大学医学部附属溝口病院 臨床病理部
順天堂大学医学部附属浦安病院


 第95回日本病理組織技術学会では染色コンペとして脂肪染色を課題とした.脂肪染色法には,使用する色素によりオイル赤O(ズダンⅡ),ズダンⅢ,ズダンⅣ,ズダン黒B,ナイル青などがある.脂質の種類は単純脂質(中性脂肪),複合脂質(リン脂質・糖脂質),誘導脂質(性ホルモン・副腎皮質ホルモン)に大別される.アルコールなどの有機溶剤に溶出する性質から,通常はホルマリン固定後の凍結切片による検索が行われるが,四酸化オスミウムを用いることでパラフィン切片でも可能である.脂肪肉腫,脂腺癌,莢膜細胞腫,バーキットリンパ腫,白血病などの腫瘍性病変のほか,脂肪肝,リポイド肺炎,腎尿細管への脂肪沈着の証明などに脂肪染色は有用である.脂肪染色の原理は色素移動による.つまり,染色液の溶媒より標本中に存在する脂質のほうが色素の溶解度が高い場合に色素が移動し,選択的に染色される.
本コンペでは,脂肪滴の大きさによって標本のできあがりに違いがあるかどうかの目的を含め脂肪肝と腎癌の20%ホルマリン固定組織片を配布した.各施設で行っている方法で脂肪染色をし,その標本とアンケート用紙を返送していただいた.
アンケートは凍結切片法とパラフィン切片法に分け,組織片のトリミングの有無をはじめ,切片作製前の処理方法や切片をスライドガラスへ貼付した後の手順,染色法,染色液,封入剤などに関する調査項目とした.
今回,27施設よりご協力をいただき,同一施設でも複数の実施者あるいは異なる染色標本が提出されました.
その内訳は,凍結切片によるオイル赤O染色が19件,ズダンⅢ染色が9件,ズダンⅣ染色およびズダン黒B染色,ナイル青染色が各1件であり,合計31件の標本で比較した.また,パラフィン切片によるオイル赤O染色が3件,ズダンⅢ染色が1件,オスミウム法が1件,合計5件で標本を比較した.以上の標本とアンケートによる標本作製手順を比較したのでその結果を報告する.


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