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ブアン再固定による酸性色素の染色性改善についての検討

鈴木一生

慶應義塾大学医学部 病理学教室
慶應義塾大学病院 臨床検査技術室兼務


 Azan染色やMasson-trichrome染色は種々の酸性色素を用いて好酸性部位を染め分ける染色法で、主に膠原線維の増生を確かめる目的で用いられている。これらの染色は固定液の種類や固定時間により染色性が異なることが知られている。現在最も多くの施設で使用されているホルマリンは、酸性色素が結合する蛋白質中のアミノ基とメチレンブリッヂを形成し蛋白質を安定化(固定)させる。ホルマリン固定が及ぼすこの蛋白質中アミノ基の三次元構造変化により、生体部位の好酸性が低下し染色性に影響を与えると考えられている。この点を改善するため媒染剤(クロム処理)として10%重クロム酸カリウム水溶液と10%トリクロロ酢酸水溶液の等量混合液を用いる方法が考案された。我々は、酸性色素を用いた染色法にブアン液による再固定を行うことで、コントラストが上がることを確認している。
 今回は、酸性色素を用いる染色法の前処理としてブアン液を使用し、反応時間や温度変化が染色結果に与える影響について比較検討を行ったので報告する。


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