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染色コンペ報告 Helicobacter pyloriの検出を目的としたGiemsa染色

古谷津 純一

獨協医科大学越谷病院病理診断科


 第93回日本病理組織技術学会では,染色コンペとして「Helicobacter pyloriの検出を目的としたGiemsa染色」を課題とした.Helicobacter pyloriは,胃炎,胃潰瘍,胃癌などの発症に関連した病原微生物で,検査には①迅速ウレアーゼ試験,②組織鏡検法,③培養法,④抗体測定,⑤尿素呼気試験,⑥糞便中抗原測定がある.組織標本中のHelicobacter pyloriを検出するには,今回の課題であるGiemsa染色の他にWarthin-Starry染色,toluidine青染色などが知られている.
 Giemsa染色の歴史はRomanovsky (1891) によるeosin とmethylene blueの混合液によるマラリヤ原虫の染色にはじまる.その後 Nocht (1898),Jenner (1899),Leishman (1901),Wright (1902)らにより改良法が報告された.Giemsaは1902年にいわゆる多染性メチレンブルーの酸化条件の検討から,azure II-eosinを主成分とする染色液を開発し,現在でも血液塗抹標本をはじめ,病理細胞診分野でも広く使用されている.
 今回のコンペでは,胃手術材料(10%ホルマリン固定,パラフィン包埋)の3μm切片の未染色スライドガラス標本を2枚配布し,各施設で実施しているHelicobacter pyloriのためのGiemsa染色を行い,良好と思われる標本1枚をアンケート用紙とともに返送していただいた.
 アンケートの内容は以下のとおりである.
①どのような試薬を使用していますか?(染色色素,分別液など)
②染色手順を記入してください.
③陽性対照同時に染色していますか?
④陽性対照を使用している施設では,何を使用していますか?
⑤陽性対照を使用していない施設では,その理由を記載してください.
⑥日常検査での薄切の厚さはどのくらいですか?(生検材料,手術材料)
⑦染色を行う際の工夫点や注意点があれば記載してください.
 ご協力いただいた26施設の染色標本を供覧しながら,染色色素や手順の違いによる染色結果にアンケートの解析結果を加えて報告する.


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