■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第93回日本病理組織技術学会 > Helicobacter pylori検出のためのGimenez染色の検討

Helicobacter pylori検出のためのGimenez染色の検討

中島 研
林 勇介  大和田麻美子  須藤明美  櫻井和也  池上雅博

東京慈恵会医科大学病理学講座


 Helicobacter pylori(以下H.pylori)は胃に生息するらせん型のグラム陰性微好気性細菌であり、1983年にオーストラリアのロビン・ウォレンとバリー・マーシャルにより発見された。H.pyloriの感染により慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍のみならず、胃癌やMALTリンパ腫やびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫などの発生に繋がることが報告されている。また、特発性血小板減少性紫斑病や小児の鉄欠乏性貧血など消化管以外の疾患との関連性も指摘されている。検査法としては、内視鏡による生検組織を用いる①迅速ウレアーゼ試験②鏡検法③培養法と生検組織を必要としない④尿素呼気試験⑤抗H.pylori抗体測定⑥便中H.pylori抗原測定があり、複数の検査法を用いることにより感染の診断精度が高まる。
 病理組織検査においては胃内視鏡検体でH.pyloriの感染の有無、除菌治療の効果判定が日常的に行われている。ヘマトキシリン・エオジン染色(以下HE染色)でもH.pyloriを確認することは可能であるが、菌体が少数の場合には見落としかねない。H.pylori検出を目的とする特殊染色としてGiemsa染色、Toluidine blue染色、Warthin-Starry染色、Gimenez染色、抗H.pylori酵素抗体法などがあげられる。最も特異性が高いのは酵素抗体法であるが、コストが高いのが難点である。
 我々はH.pylori検出を目的とする特殊染色としてどの染色が最適なのかを検討し、Gimenez染色を選択した。Gimenez染色は細菌検査で主にレジオネラ菌の検出を目的として用いられている染色法であるが、胃内視鏡検体のパラフィン包埋切片におけるH.pylori検出にも有用である。染色時の工夫を含めて報告する。


例会抄録一覧へ戻る