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病理診断の内部精度管理と外部精度評価について

増田しのぶ

日本大学医学部病態病理学系腫瘍病理学


 病理診断は治療開始の起点となり、あるいは治療方針決定の根拠となるので、確定的であることが前提である。実診療においては、疾患概念の経時的変遷、診断基準の変化、採取検体の大きさや適正性、標本作製の適否、免疫染色の信頼性、診断力など、最終病理診断に影響を与える多くの変動因子が存在する。これらの変動因子が存在してもなおかつ病理診断に対しては信頼性と再現性が求められる。一般的な機器の精度誤差は、例えば5%、10%の範囲内に収束するよう管理される。ところが病理診断の精度誤差は限りなくゼロに近いことが求められる。従来、病理医、病理検査室の個別的な良心と努力に従って内部精度管理が行われてきたが、癌診療チームにおける病理診断の役割を全うするためには、第三者機関による外部精度評価の必要性が認識されてきている。
 昨年、日本病理学会および日本臨床衛生検査技師会が中心となり、日本病理精度保証機構が設立された。本機構の目的は、本邦の医療状況および病理検査室がおかれている現状に適合した形で、広く外部精度評価活動を継続的に行うことである。活動内容の一つの柱は外部精度評価事業である。第一回外部精度評価はバーチャルスライドを用いた判定評価が行われ、また医師・技師に対する教育研修事業として、講習会が開催された。現在の、本機構活動の活動内容を紹介する。


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