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次亜塩素酸を用いた気液接触方式の「空間清浄機」によるホルムアルデヒド(FA)抑制効果の検証

金子 伸行 ※1
堀切 茂俊 ※2
高野 哲司 ※3

※1東京大学医学部附属病院病理部
※2パナソニックエコシステムズ株式会社 R&D本部浄化開発グループ
※3パナソニックシステムネットワークス株式会社システムソリューションジャパンカンパニー


 平成21年3月より、FAの取扱いは、第3種物質から特定化学物質第2類へ変更となり、FAを製造、又は取り扱う屋内作業環境において、6ヶ月毎に1回の作業環境測定が義務付けられ、この測定結果より第一管理区分から第三管理区分の評価を行い、評価に応じて適切な改善を行うことが必要となった。
 病理作業環境においては、日本病理学会のHPでも公開されている通り、①有害性の少ないFA代替品への転換②作業方法の改良による発散防止③設備の密閉化、自動化、有害工程の隔離④局所排気装置による拡散防止⑤希釈換気による気中濃度の低減(全体換気)⑥作業環境測定による環境管理状態の監視⑦時間制限等作業形態の改善、保護具の使用⑧健康診断による異常の早期発見と事後措置の8項目を基本として改善が進められているが、中心的な役割となる局所排気や全体換気の措置は、大掛かりでコスト面の負担も大きく、増設時の制約などにより十分な抑制を果たす環境を作ることが困難な場合も少なくない。
 この解決策としては、補助的に濃度を軽減する装置の導入の検討が図られているが、現状選択可能な補助装置(空気清浄装置)では、吸着剤方式が一般的であるため性能の持続性の問題や、2次的に有害な生成物の発生リスクの問題、あるいは交換等におけるランニングコスト面での問題などが指摘されている。今回検証に用いたパナソニックエコシステムズ株式会社製の「空間清浄機」は、電解式の次亜塩素酸を用いた気液接触方式の空気清浄装置であり、これら現状の課題に対して優位性があるため、解決できると考えられる。しかし病理検査環境において、当該方式を用いたFA抑制効果の検証はされていない。今回、当院の病理作業環境を用いて、作業台の設置等による全体換気気流の乱れや、FAの特性に着目した、FAの挙動を検証すると共に、次亜塩素酸を用いた気液接触方式による空気清浄装置のFA抑制効果の検証を行ったので、ここに報告する。


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