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免疫染色以外の可能性

柳田絵美衣

神戸大学医学部附属病院病理部


 電界非接触撹拌を利用したラピート(サクラファインテックジャパン)は,術中迅速病理学診断の免疫組織化学酵素抗体法(以下「免疫染色」)を目的とし,凍結切片での免疫染色の迅速化を目指して開発された.使用する抗体や試薬により異なるが切片の固定から封入まで約30分で免疫染色標本が作製可能である.我々は凍結切片での免疫染色以外にも,電界非接触撹拌による効果が得られるのではないかと考え検討をおこなった.まず予備検討としてホルマリン固定パラフィン切片でも免疫染色の迅速化が可能か,48種類の一次抗体を用いて検討をおこなった.その結果,44種類の一次抗体において一次抗体反応10分,二次抗体(EnVision)7分で良好な染色性が得られ,以下の検討を進めた.
 【目的】
 ホルマリン固定パラフィン切片において特殊染色,免疫多重染色の染色時間短縮は可能か検討をおこなった.
 【材料・試薬】
 特殊染色:PAS反応(D-PAS),アルシアン青染色,ビクトリア青染色,コロイド鉄染色,ギムザ染色,AZAN染色,チールネルゼン染色,トルイジン青染色,ベルリン青染色
 免疫重染色:Glucagon+Insulin(膵),ACTH+hGH(下垂体)
 免疫染色+特殊染色:CAM5.2+FactorⅧ+アルシアン青(胃)
 【方法】
 特殊染色の手順は「基礎病理技術学」に記載されている手順に従いおこなった.免疫重染色は古典法と,異なる標識酵素と異なる免疫動物の抗体を用いたカクテル法で染色した.免疫染色と特殊染色の重染色は,免疫染色後に特殊染色をおこなった.
 【結果】
 ホルマリン固定パラフィン切片での特殊染色,免疫重染色,免疫染色+特殊染色においても,染色時間の短縮が可能であり良好な染色性が得られた.

 電界非接触撹拌技術は,様々な染色において,効果が期待できる.


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