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開発の経緯

南谷 佳弘

秋田大学大学院医学系研究科呼吸器乳腺内分泌外科学講座


 多くの施設ではリンパ節転移術中診断はヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を用いている.しかしHE染色では微小転移(最大径200μm以下)を見逃すことが多い.この問題を解決するためにOSNA法を始め、数々の方法が開発され、保険診療として臨床応用もされている.一方、従来からリンパ節の微小転移診断にはサイトケラチンの免疫組織染色が用いられてきた.しかし免疫組織染色には2時間以上を要するために,手術中に癌のリンパ節微小転移を、免疫素組織染色を用いて診断することは難しかった.我々は秋田県産業技術センターで開発した微量液滴を撹拌する方法(電界非接触撹拌法)を用いて、免疫組織染色を迅速化する方法を考案した.この方法を用いると2時間以上を要していた免疫組織染色を20分以内に終えることが可能であった.この技術を用いたHistotech-R-IHC ラピートは2014年5月12日にサクラファインテック・ジャパン株式会社から発売された.ラピートを用いて肺癌の手術時に郭清したリンパ節205個をサイトケラチンの免疫染色を行った.そして従来の免疫組織染色法で染色した結果と比較検討した.その結果、ラピートによる免疫組織染色は従来の方法と全く同様の結果が得られた.また微小転移も見逃しなく診断可能であった.本法は術中迅速免疫染色が可能なことから、術中に判断が求められる手術に応用可能である.今後のさらなる発展を期待している.


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