■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第90回日本病理組織技術学会 > 全自動連続薄切装置の検討

全自動連続薄切装置の検討

小澤英樹1) 高橋俊介2) 小潟利裕3)

1)PCL福岡 病理細胞診センター
2)PCL川越 病理細胞診センター
3)PCL東京 病理細胞診センター


 1)はじめに
 当施設の検査室は全国で8か所あり,全体で病理70万件,ブロックは約90万個の標本作製を,検査技師80名ほどで行っている.病理検査の中で多くのブロックを取り扱う薄切作業での品質管理は欠かせない.またインシデントやヒヤリハットの多々発生する場所でもあり,間違いがあると患者の誤報告に直結するリスクがある作業であることは言うまでもない.しかしながら,検査技師にその重要性があまり認知されておらず作業の煩雑性が残されたまま,いまだ機械化や自動化されていない工程の1つである.
 2)薄切工程の分析
 包埋が終了したブロックから,切片(未染色切片)を完了するまでの工程で,人的要因や仕組みなどでミスが発生する分析を行った.ブロック番号・薄切切片の水槽位置・スライド番号の記入・ひろい間違い・ラベル貼り,これらの工程での要因を①システム ②自動薄切で回避できるか精査した.
 3)システムによる薄切工程の品質向上
 システム化による対応で良くあるケースは,検査システムデータからスライドガラスへ直接印刷,ラベル印刷する際にバーコードや2次元コードの表記多様化が行われているが,実際切片を拾う時にID照合している施設はまだ少ない様子である.また,ブロックと切片の照合はいまだに目視で行っている現状と思われる.システム化だけで全部を賄うのは難しいことが解る.
 4)全自動連続薄切装置の使用における品質向上
 薄切工程での人為的ミスは,①ブロック再薄切で面が変わってしまい病変部が出ていない ②面が出ているかの判断が人頼み ③切り過ぎて無くなる ④水槽に浮かべ間違い ⑤コンタミ 等があり,自動化することで解消できるか検証した.
 5)導入の是非
 薄切工程の見える化、間違いを起こさない仕組み,これらを将来にわたり構築することが必要で,病理検査のスタンダードも進化すべきと思っている.また,今まで私達が培ってきた匠の技術を機械に反映することが,病理検査技師の今後の役割ではと思っている.


例会抄録一覧へ戻る