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標本作製をサポートする全自動連続薄切装置とは

藤本 幸司

サクラファインテックジャパン株式会社


 がん患者数の増加とCoDxに代表されるような診断法の多様化により,病理標本数はここ7年間で倍増していると我々は分析している.一方で標本作製を行う臨床検査技師数は標本数に対応して増加している様子は見られない.
 そこで,弊社は技師の方々の負荷軽減を図りたいと言う考えから,全自動連続薄切装置ティシュー・テック スマートセクションを開発した.我々は,装置が技師の方々に代わって総ての検体を処理できるとは考えていない.なぜならば,検体によっては自動で面出しが困難なブロックが存在するからである.従って,装置に任せられるブロックとそうでないブロックに選別して頂くことにより,技師の方々の負荷軽減を実現したいと考えている.
 しかしながら,スマートセクションが担当したブロックは,確実に・間違いなく指示された未染スライドとして作製されなければ,かえって技師の方々の負荷を増やすことになりかねない.そこで,我々は±0.5℃で温度管理された薄切室で薄切することにより,指示通りの厚さで,バラツキの小さな切片が作製できるようにした.また作製プロトコルと画像を用いたログによる二重の対策をとることによって切片の取り違い防止を図った.さらに,装置が作製した切片の品質(破れや抜け)と切片の貼り付け位置を装置自身が評価できる機能を搭載し,安定した歩留で未染スライドを作製し,再薄切を繰り返すことによる検体の損失防止策も講じた.評価の結果,合格した未染スライドは,染色法ごとに分類されて染色バスケットに収納される.装置内での乾燥が終了すれば,そのまま染色装置にかけることが可能で,次工程へのスムーズなワークフローをも実現した装置となっている.


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