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当院における乳腺迅速標本作製法と実際

順天堂大学医学部附属 練馬病院 臨床検査科
青木 裕志


乳腺術中迅速診断は,乳房の切除範囲やリンパ節の廓清範囲を決めるうえで,必要不可欠な検査である。特に,乳癌手術の縮小化に伴い,切除断端の評価は,その重要度を増している。当院における乳腺術中迅速診断は,年間約150件を数えるが,そのうち約7割において切除断端の評価を行っている。1検体あたり平均7個の切除断端標本を作製するが,乳房腫瘤摘出から縫合開始までの約20分以内の結果報告を目指し,臨床側と病理側とが連携して取り組んでいる。一方で,乳腺組織は脂肪成分が多く含まれるため,凍結標本の作製が難しい組織とされる。これには,脂肪成分が凍結する温度と,クリオスタット庫内での標本および刃先の温度との乖離が大きな要因となっている。乳腺組織の薄切においては,冷却スプレー等による適切な温度管理とミクロトーム刃の切れ味が重要である。今回の発表では,当院における乳腺術中迅速診断の実際と,脂肪を含む組織の標本作製法について報告する。


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