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10年間切り置いた切片の核内抗原の染色性および染色標本の退色について

信州大学医学部附属病院臨床検査部病理検査室
新井慎平・百瀬正信・羽山正義


一般的に核内抗原の酵素抗体法では、切片を薄切してから時間の経過とともに染色性は低下すると言われている。その場合、染色性の劣化は切片の保管条件によって異なることも指摘されている。そこで今回われわれは、10年前の免疫染色標本(Ki-67,ER,PgR)と当時切り置いた隣接未染切片の同抗体を用いた免疫染色を行い、標本の退色および染色性の劣化の程度を考察した。材料は信州大学医学部附属病院臨床検査部において子宮筋腫で外科的に摘出された正常性周期をもつ子宮内膜組織を用いた。未染切片は4℃暗所で密閉保存していたものを用い、酵素抗体法は間接法およびベンタナシステムを用いてDAB発色した。当時の染色標本は室温暗所で保管していた。検討方法はKi-67, ER, PgRの3種とも陽性細胞数(LI;Labeling index)を算出して客観的評価をした。保管条件が染色性にあたえる影響については10年前のLIと、今回染色した切り置き未染色隣接切片のLIを比較して評価した。また、染色標本の退色の程度については、10年前のLIと今回再度当時の標本を計測して得られたLIと比較することで評価した。


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