■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第83-84回日本病理組織技術学会 > HER2タンパク及びHER2/neuシグナル検出における固定時間の影響

HER2タンパク及びHER2/neuシグナル検出における固定時間の影響

防衛医科大学校 臨床検査医学講座
国立がんセンター中央病院
**ピーシーエルジャパン病理・細胞診センター

廣井禎之、津田 均、冨永 晋、大屋智裕**、小沢英樹
** 緒方 衝、中西邦昭、河合俊明


Human Epidermal Growth Factor Recepter-2 (HER2)はヒト染色体17q21に存在する遺伝子であり、本遺伝子の増幅に伴い活性化したHER2タンパクの過剰発現が見られる。HER2 protein oncogene (HER2/neu)の増幅、HER2タンパク過剰発現の検索は乳癌における癌治療薬Trastuzumab投与対象例選択の重要な根拠となる。今回我々はHER2タンパク及びHER2/neuシグナル検出における組織ホルマリン固定時間の影響を検討した。対象は10例の乳癌外科的切除例、ホルマリン固定時間は1日、2日、3日、4日、1週間、2週間、4週間とした。固定後、パラフィン包組織し、薄切はブロックを氷で冷やさずに目盛り5µmでおこなった。HER2タンパクの検出はHercepTest(DAKO)、HER2/neuシグナル検出はLSI HER-2/neu/CEP17(Abbott)にて行い、HER2/neuと17番染色体セントロメアシグナル数との比率2.0以上を増幅と判定した。HER2タンパクは固定時間2週間で陰性化した症例が見られた。HER2/neuと17番染色体セントロメアシグナルは固定時間と共に微弱になり、特に3日以上固定した組織でHER2/neuシグナルの著明な減弱が認められた。また、組織固定3日で増幅(比率;1日目2.7、2日目2.0)から増幅なし(比率1.4)へ判定が変化した症例がみられた。HER2タンパク及びHER2/neuシグナル検出の際の組織固定時間は2日以内が望ましいと考える。


例会抄録一覧へ戻る