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CD22抗原の基礎と臨床

癌研有明病院 血液腫瘍科
照井康仁


 CD22抗原は成熟B細胞に特異的な膜抗原で、proB細胞後期からpreB細胞初期までは細胞質内に発現し、成熟B細胞になると細胞表面に発現するが、形質細胞に分化すると消失する。造血幹細胞や非リンパ球系血球、非造血系細胞では発現していない。また、前リンパ球性白血病細胞やヘアリー細胞白血病細胞ではより強く発現しており、B細胞性リンパ腫のほとんどで発現が認められる。急性B細胞性リンパ性白血病細胞は細胞質と細胞膜の両方にCD22を発現しているため、白血病の鑑別に用いることもできる。  
 CD22は分子量約130–140kDaの1本鎖のI型膜貫通性糖タンパクで、CD22αCD22βからなり、哺乳類糖質結合蛋白ファミリーであるSiglecファミリーに属する。また、B細胞のシアル酸への結合レセプターとして、細胞接着やB細胞活性化抑制に関与している。
CMC–544(イノツズマブオゾガマイシン)は、CD22を標的としたヒト化IgG4型モノクローナル抗体に抗がん剤であるカリケアマイシンを共有結合した抗体医薬である。CD22と結合した後はカリケアマイシンとともに細胞内へ取り込まれる。
 前臨床試験での効果がリンパ腫モデルで証明され、さらに臨床試験ではろ胞性リンパ腫19例でCR/CRu 31.7%、PR 36. 8%、全奏効率68.8%、びまん性大細胞型リンパ腫15例でCR/CRu 13.3%、PR 20.0%、全奏効率33.3%であった。
 CD22の検出法は他の分化抗原同様に、フローサイトメトリー法と免疫組織染色法であるが、CMC–544などの抗体医薬を使用する場合は、フローサイトメトリー法による細胞表面のCD22の存在証明が必要である。


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