■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第81回日本病理組織技術学会 > 『当社におけるPNA-LNA PCR clamp法を用いたEGFR遺伝子変異解析の状況について』

『当社におけるPNA-LNA PCR clamp法を用いたEGFR遺伝子変異解析の状況について』

三菱化学メディエンス株式会社 検査センター遺伝子検査部遺伝子検査グループ
古本 奈緒美


EGFR チロシンキナーゼ阻害剤は癌の増殖に関与しているシグナル伝達を遮断して抗腫瘍効果を発揮する分子標的治療薬である。本薬剤は非小細胞肺癌患者の治療に使われており、当初は間質性肺炎などの重篤な副作用が発生し問題となった。一方で、本薬剤の科学的な効果予測因子としてEGFR遺伝子変異が最も重要であると認識されるようになり、2007年に本検査は保険適用となった。従って本薬剤の投薬前にEGFR遺伝子の変異を測定し、治療効果が期待できる患者を選別することは、個別化医療の実現において重要である。
しかし、従来から存在する遺伝子の変異測定法では、正常細胞の混入により変異遺伝子の検出感度が低下し、本来であれば治療を受ける機会のある患者を見落としてしまう可能性がある為に、高感度に遺伝子変異を測定する方法が求められてきた。当社では埼玉医科大学の萩原教授らが2005年に発表し1)、大規模臨床試験で用いられた「PNA-LNA PCR clamp法を用いた高感度なEGFR遺伝子変異検出システム」をベースに検査系を開発し実用化した。
本検査はリアルタイムPCR法を基として「PNAオリゴマー」によって正常型遺伝子の増幅を特異的に抑制している。増幅された変異遺伝子は蛍光標識された「LNAプローブ」により高感度かつ特異的に検出している。また、「PNAオリゴマー」を用いたPCR法を応用する事によりLNAプローブに設定していない様々な変異も検出する事が可能である。本検査は非常に微量なDNAでも高感度に検出することが可能であるため、「パラフィン切片」の他に、マクロダイセクションが不可能な「胸水」、「気管支洗浄液」など、幅広い臨床検体でも検査を実施することが可能である。
本発表では「PNA-LNA PCR clamp法を用いた高感度なEGFR遺伝子変異検出システム」の説明をするとともに、実際の臨床検体での実施状況について紹介をする。
 1) Cancer Res 65: 7276-7282, 2005


例会抄録一覧へ戻る