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消化管悪性腫瘍の分子標的治療と検査

1北海道大学病院病理部,
2国立がんセンター東病院 臨床開発センター 臨床腫瘍病理部
畑中 豊1 落合 淳志2 松野 吉宏1


 乳癌やGISTを対象としたがん分子標的治療薬の普及に伴い,その標的分子の腫瘍におけるタンパク発現や遺伝子異常の検索は不可欠となっており,日常診療において,これら検索を目的とした分子病理検査は,極めて重要となっている.近年消化管領域では,EGFRを標的とした大腸癌治療薬cetuximab(Erbitux)が2008年に承認され,現在治療対象患者の選別としてEGFRの免疫組織化学(IHC)検査がルーチン検査として行われ,治療効果の予測としてKRASの遺伝子変異検査が先進医療として実施されている.またこれまで乳癌治療薬として用いられていたtrastuzumab(Herceptin)が,国際多施設共同第Ⅲ相試験(ToGA試験)の結果を受け胃癌への適応拡大が本邦でも予定されており,今後乳癌と同様,進行胃癌においてもIHC検査やFISH検査がルーチン検査へ導入される見込みである.
本発表では,大腸癌EGFR IHC検査やKRAS 遺伝子検査における現状と問題点や今後実施が予定されている胃癌HER2検査における注意点について概説する.またその他の消化管領域のがん分子標的治療薬とその検査についても合わせて説明したい.


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