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パラフィン切片を用いた骨関連酵素(TRAP、ALP)の二重染色の試み

東京大学医学部附属病院 整形外科脊椎外科 第2研究室
河原 元


【要旨】
生体の骨代謝状態を知るには、骨芽細胞(骨形成)と破骨細胞(骨吸収)の把握が必要である。これらの細胞はその特性から、骨関連酵素の染色を行い識別することができる。しかし、材料が骨・軟骨組織で、脱灰操作が必要となるため、酵素の失活化、拡散、溶失を生ずることがあり、良好に顕在化し難いとされてきた。今回、以下のように、脱灰液と脱灰法を改良した結果、TRAP(酒石酸耐性酸フォスファターゼ)とALP(アルカリフォスファターゼ)の二重染色が可能になり、かつ、骨芽細胞と破骨細胞を同一標本上で観察することができたので報告する。


【方法】
① 材料・切り出し 成獣マウス(生後1年)の上・下肢骨、脊椎骨(軟組織を切除)
② 一次固定 4%パラフォルムアルデヒド液(4℃、16時間~4日間)
③ 二次固定 純エタノール(4℃、1~3日間)
脊椎骨の一部を非脱灰GMA樹脂包埋用(スタンダード標本)に、その他の検体を
脱灰用として固定・脱脂した。
④ 脱灰
脱灰液 ZnSO4加EDTA液、グリシン液洗浄
脱灰装置 Histra-DC(常光)8~16℃ 連続作動 3~6日間
⑤ 脱水、包埋
ETP-パラフィン包埋 16時間
右上肢はGMA樹脂包埋 4℃
⑥ 薄切、乾燥
4ミクロン切片、43℃伸展、37℃乾燥
⑦ 染色、封入
アゾ色素法 TRAP/ALPキット(和光)
37℃乾燥後、キシレン浸透、マリノール封入。

【結果】
1、脱灰パラフィン切片上で酵素染色ができた。
2、同一切片上でTRAP/ALP染色ができた。


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