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ハイフロイド凍結標本の特殊染色並びに免疫染色への適応

防衛医科大学校臨床検査医学講座
サクラファインテックジャパン株式会社

廣井 禎之 冨永 晋 中西 邦昭 緒方 衝 大畑 裕一郎
榎本 純也 坂田 輝子 河合 俊明


 ハイフロイドは無色透明で引火せず,凝固点-138℃,金属や樹脂を侵さず,熱的,化学的に安定なのが特徴である.この不燃性で実用上無害のハイフロイドを病理凍結標本作製の凍結工程用冷媒に使用し,病理組織標本を作製することを目的として組織凍結技術,及び染色(H&E,特染,免疫組織化学)の検討を行った.
材料は,ラット肝,腎,脾,胃及びヒト病理解剖組織(骨格筋,他)を用いた.ラット肝,腎,脾,胃及びヒト病理解剖組織は包埋剤を用いて包埋した.骨格筋はトラガカントゴムで倒れないように固定した.組織凍結はヒスト・テックピノにより-75℃に設定したハイフロイドで行った.対照としてドライアイス・イソペンタンおよび液体窒素・イソペンタンで同組織を凍結した.凍結した組織はクリオスタットで薄切し,H&E,アルシアン青,PAS 反応および免疫組織化学を施して組織の状態,染色態度を観察した.
ハイフロイドで凍結した肝,腎,胃,唾液腺の上皮性組織成分は良好な形態を示した.それらは対照凍結組織と同様であった.胃粘膜下組織,脾柱及び肝の小葉間結合組織等の間質性分にわずかであるが構築の乱れを認めた.骨格筋は微少ではあるが氷晶による変化が確認された.染色態度の検討では今回検討した染色においては同様な染色態度を示した.
ハイフロイドによる組織凍結は対照凍結法と同等に上皮細胞の形態を保持し,染色態度はドライアイス・イソペンタン等と同様であった.本液は作業環境保全を考慮した冷却溶媒としての利用が可能と考える.


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