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新しい凍結冷媒「ヒスト・テック ハイフロイド」のご紹介

坂田輝子 榎本純也
サクラファインテックジャパン株式会社


【はじめに】
患者の術後QOLを保つがんの温存手術件数増加に伴い、術中迅速病理診断の件数は近年増加している。また、病理科では多くの有害化学物質を使用して標本作製が行われている。平成20年の特定化学物質障害予防規則等改正により、ホルムアルデヒドを始めとした有害化学物質の人体に及ぼす影響に対する認識と対策の必要性がクローズアップされている。
従来、術中迅速病理診断での組織凍結に使用される冷媒は、有機溶剤中毒予防規則に該当する有害物があり、また労働安全衛生法、消防法、船舶安全法、航空法、PRTR法に該当する溶剤を使用する方法が多く用いられている。これらの方法は溶剤の揮発が多く、人体または環境に影響を及ぼすことがわかっていることから、健康を害さない凍結溶剤が望まれていた。
そこで新たに安全性と使い勝手の良さを両立したヒスト・テック ピノ専用冷却溶剤「ヒスト・テック ハイフロイド」を発売した。


【商品の特徴】
ヒスト・テック ハイフロイドはハイドロフルオロエーテル構造を持ち、特長として①作業安全(オゾン破壊係数もゼロであるため地球環境保全にも優れた冷却溶剤である)、②不燃性(消火剤に使用される溶剤であり、火災の危険性がない)、③高性能(伝熱性に優れており、また絶縁水であるため装置内に漏れても装置に影響を及ぼさない)、④使いやすさ(クリオモルドが割れにくくなるため、取り外し易くなる。クリオモルドのマジックが消えにくいのでインシデント対策上安心である)を有する。そして前述の関係法規には該当しない。


【まとめ】
ヒスト・テック ハイフロイドは、有機則等健康障害を起こす化学物質には該当せず、-75℃で凍結標本作製に使用できるヒスト・テック ピノ専用冷却溶剤である。
術中迅速病理診断の件数が増加している中、ヒスト・テック ピノとヒスト・テック ハイフロイドの組み合わせは環境にも健康にも優しい組織凍結法である。
作業者の安全面に配慮し、病理診断にも影響のないヒスト・テック ハイフロイドは病理科における作業環境改善の一助になると思われる。


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