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子宮頸がん検診における細胞診とHPV-DNA検査併用の有用性

松岡 徹(三菱化学メディエンス株式会社)


子宮頸がんの原因が高リスク型ヒト・パピローマウイルス(HPV)であることが解明され、子宮頸がんは未然に防ぎうる疾患となった。子宮頸がんは今やがんに進行する前の異形成の段階で確実に発見し、治療することが求められるがんである。

HPVは現在までに100種類以上の型が報告されているが、いわゆる高リスク型HPVと呼ばれる十数種類のHPVが子宮頸がんを引き起こす。HPVは性交渉のある女性ならばごく普通に感染するウイルスであり、大部分のHPV感染は一過性で、免疫力によって自然に排除されるため特に問題とはならない。HPV感染の約70%は1年以内に、約90%は2年以内にウイルスが消失するとされる。ところが約10%の感染ではHPVが消失せずに持続感染化する。この場合、平均10年以上の期間を経て、子宮頸部異形成から子宮頸がんになるリスクがある。

子宮頸がんの特徴はがんに進行する前に長期間の前がん状態が存在することである。このため、いかに確実にこの段階で発見できるかということががん検診の精度として要求される。そのためには細胞診とHPV-DNA検査を併用した検診が必要となる。

HPV-DNA検査は細胞診と同様に子宮頸部から擦過した細胞を検体材料とし、高リスク型HPVのDNAの有無を検査する。検査法としては、遺伝子増幅は伴わないハイブリッドキャプチャー法が国際的に普及している。ハイブリッドキャプチャー法は米国でFDA承認されている唯一のHPV検査法で、16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59および68型の13種類の高リスク型HPVグループを検出する。これら13種類で子宮頸がんから検出されるHPV型をほぼ網羅している。

子宮頸がん検診はHPV検査併用による検診の普及と受診率の向上が今後の課題である。


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