■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第77回病理技術研究会 > 小型連続迅速自動固定包埋装置、エクスプレスx50に関する検討

小型連続迅速自動固定包埋装置、エクスプレスx50に関する検討

榎本純也 他(サクラファインテックジャパン㈱)


【はじめに】医療行政における基本視点が「患者の視点の尊重」「質が高く効率的な医療の提供」「医療の基盤整備」にシフトする一方、日本の医療に対する国民の不満・不安の世論調査では「1.親切さ」「2.素早さ」「3.安全さ」を国民は求めている。

患者ニーズだけで無く、技術的な面においても温存療法などの治療法の変化、生検件数の増加や臓器移植における術前検査と拒絶反応診断の必要性などが病理に求める守備範囲を広げ、TAT短縮を避けられないものとしつつある。

このような外部環境変化の中、サクラファインテックジャパン㈱では2004年に迅速処理を連絡的に行える装置としてティシュー・テック エクスプレスを販売し、TAT短縮化を目指す施設にて導入されているが、この度、装置の大きさを半分にし、エクスプレスのMW技術を応用した槽数2槽式の連続迅速自動固定包埋装置 エクスプレス エックス50を開発し、その標本の出来具合について評価を行ったので報告する。

【方法】エクスプレスx50標準プログラム(マイクロウエーブ槽:40分/パラフィン槽:40分 合計80分)を使用し、

ヒト肝臓、腎臓、脾臓、リンパ節、肺、S状結腸、直腸、大腸横行結腸、胃、乳腺、皮膚、軟骨、前立腺、卵巣、腹膜、子宮頚部、子宮体部、胆嚢の正常検体および一部腫瘍組織について、各々約1.5mmに切り出し、

固定後、専用試薬を用いて脱水⇒脱脂⇒パラフィン浸透を行い、HE染色、

乳腺については免疫染色(HER2他)を行い診断可不可、スコアの一致性を検討した。

【結果・考察】作製されたすべての検体は、包埋・薄切・染色工程および診断上も従来法との差異は認められなかった。

HER2スコアについてもコンベンショナル法との一致が確認された。(乳腺、HER2については、N数が少ないため、現在も検討を実施中である。)

以上の結果より、エクスプレス エックス50は従来法に遜色ない標本が作成可能であり病理検査室の迅速化に大きく寄与する装置である考えられた。


例会抄録一覧へ戻る