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振動を利用した電顕超薄切用ウルトラソニックナイフの検討

鈴木正則(虎の門病院 病理部 電子顕微鏡室)


ウルトラソニックナイフは、ダイアモンドナイフの刃を振動させて超薄切を行い、従来のナイフより圧縮の少ない構造保持に優れた切片を得ることを目的としたものである。

装置は、専用のナイフと卓上のコントロールユニットから伸びるコードを取り付けるだけで、わずらわしい設置作業は不要である。スイッチを入れるとすぐに設定振動に達し薄切が可能となる。

使用するにあたって問題となるのは、どのくらい薄く切ることができるのか、ダイアモンドナイフと同じように薄切できるのか、刃の振動によりチャタリングが起きないかという点であった。

薄切は従来の厚さ(60-70nm)と30nmで行った。従来のダイアモンドナイフと同様に取り付け、面あわせをすることができ、スムーズに薄切することができた。同じ厚さの設定でも振動を与えることによって、より薄く切ることが可能であった。低倍、高倍の観察においてチャタリングは見られなかった。

今回の検討で用いたナイフでは、20nm以下での薄切ではナイフマークが入り、切片が細かく散ってしまいメッシュに載せることはできなかった。

また、切りにくいブロック、例えば重合不良で柔らかいブロックや脂肪の多い組織でも薄切が可能であると報告されている。

切片の薄さによって構造の見え方やコントラストの問題もあるが、目的によっては薄い切片が必要であり、薄切の困難なブロックが切れるという点で有用であったので、その使用経験を紹介する。


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