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CCDカメラによる透過電子顕微鏡画像のデジタル化

佐藤 泰彦(日本電子株式会社 電子光学機器本部)


生命科学分野で取り扱われる画像情報は、急速にデジタル化された。本来アナログ情報である透過電子顕微鏡(TEM)像においても例外ではなく、銀塩写真に代わる記録方法としてTEM用CCDカメラが普及してきた。

TEM用CCDカメラの特長はTEMで観察している像をそのままデジタル画像として記録できることである。これによってTEM像の取得・記録からプリントアウトまでのスループットが飛躍的に向上した。

またCCDカメラで取得した画像データからオートフォーカスや自動非点補正も可能になった。

TEM用CCDカメラには、サイドマウントとボトムマウントの2種類があり、目的に応じて選択される。

サイドマウントカメラは、TEMの観察窓の上(回折室)に取り付けられる。これは広い視野を見るのに適しており、生物組織・高分子材料などの観察に適している。

一方ボトムマウントカメラは、TEMのフィルムカメラ室の下に取り付けられる。こちらは高分解能像を取得するのに適しており、金属・半導体材料のみならず生命科学分野においてもウィルスの観察などに威力を発揮する。

最新のTEMでは従来と比較して低倍領域が拡がったため、特別な操作なしにボトムマウントカメラでも広い視野を見られるようになった。そのためボトムマウントカメラ1台で、低倍像から高分解能像までカバーできる。

TEMCCDカメラを使用する上で注意すべき点は、取得した画像データに含まれる情報量がネガフィルムと比較して少なく(粗く)、あとから引き伸ばしがきかないことである。そのため我々がCCDカメラでTEM像を取得・記録する際には、必要とする情報(構造)がディスプレイ上できちんと見えていることを充分確認するように心掛ける必要がある。

TEM用CCDカメラは従来の銀塩写真と比較して長所も短所も持ち合わせているがそれらを把握することで有用なデジタル画像を効率よく取得・記録できる。


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