■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第76回病理技術研究会 > 「Kartagener症候群の電顕的繊毛構造異常」

「Kartagener症候群の電顕的繊毛構造異常」

梅宮 敏文(千葉大学大学院医学研究院腫瘍病理学)


【はじめに】Kartagener(KS)症候群は内臓逆位・副鼻腔炎・気管支拡張症の3象徴を有する症候群である。同症は幼年時より感冒や肺炎に罹患しやすく、咳、痰、鼻汁が良く出て、慢性気管支炎や慢性副鼻腔炎を合併することが多いという臨床的特徴をもっている。発症についてKartagenerは三徴候の合併が偶発的なものは無く、遺伝的要因が疑われるとした。

近年この三徴候が、先天的な繊毛異常に基づく粘液繊毛輸送の減弱もしくは消失に起因するという考え方が一般的になっている。

これらの繊毛異常をPrimary Ciliary Dyskinesia(PCD)と称することが多く、kartagener症候群も本症の部分症として認識されている。

本症の原因は男性不妊症の精子や先天性繊毛運動不全患者の繊毛の超微細構造の検索より、繊毛構造異常が本症の原因と考えられている。

【症例】本症例は気管支拡張症による喀血で来院、内臓逆位がみられkartagenerの三徴候を有した症例である。

走査型電顕では気管支上皮細胞の繊毛走行異常と欠落等を認め、透過型電顕では、繊毛の中心微細管や周囲微細管のarmに欠損や変形等の構造異常を認め、本症例の原因が繊毛構造異常によるものと確認できた。

以上、電顕的に繊毛構造異常を認めたkartagener症候群の一例を提示する。


例会抄録一覧へ戻る