■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第75回病理技術研究会 > ベンタナベンチマークXTシステムの使用経験

ベンタナベンチマークXTシステムの使用経験

平澤 浩 ほか(藤田保健衛生大学病院病理部)


【はじめに】今日では良質な抗体と染色システムが多数製品化され、ユーザーの選択肢も広がっているが、免疫染色のニーズの増加に伴い自動染色装置の普及も加速してきている。当病理部でも免疫染色の導入以来、用手法で染色を実施してきたが、昨年ベンタナベンチマークXTシステムを導入した。本システムの使用経験と用手法との差異や特徴について述べる。

【染色の実際】①バーコード管理:抗体別に抗原賦活化処理条件や抗体反応時間などを登録した内容を、スライドに貼付したバーコードラベルで管理する。②試薬準備:染色試薬、洗浄液、抗原賦活液、ヘマトキシリン染色液などはすべて専用試薬となっており、使用期限、試薬使用量はバーコード管理されている。③撥水防止処理:スライドの撥水により染色ムラを生じるアーチファクトを防止するため、推奨されているスキムミルク処理を染色前に行う。④システムの運転:一回の運転では30スライドの染色を行うことが可能である。運転開始後、途中で一次抗体をマニュアルで滴下するが、その後ヘマトキシリン核染色まで自動的に行うことが可能である。

【染色結果】用手法と本システムによる染色性を比較すると、用手法に較べて強い染色結果が得られたが、染色性が強すぎる項目が多く、用手法よりも高い抗体希釈が必要であった。また用手法では、明瞭な染色性を得ることが困難であった項目も本システムによる染色性は良好で、精度管理上も有用であった。

【まとめ】本システムの導入以来、用手法と較べて処理効率は低くなったが、信頼性の高い免疫染色の結果が得られるようになり、診断医の評価も良好である。また一次抗体の滴下操作はマニュアルで行っているが、脱パラフィンや抗原賦活化、核染色など、その他の工程はすべて自動的に行えるため、全体的な作業効率の向上に貢献できている。


例会抄録一覧へ戻る