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HER2/neuの遺伝子増幅

大屋 智裕 ・大塚 重則 ・羽山 忠良(ピーシーエルジャパン)
廣井 禎之(防衛医科大学校 病理学第一講座)


HER2/neu(HER2遺伝子)はヒト上皮細胞増殖因子受容体遺伝子と似た構造を持つ癌遺伝子であり、HER2タンパクは細胞膜を通す受容体型糖タンパク質で、シグナル伝達経路を介して細胞の増殖に関与している。

HER2検査はこれらHER2遺伝子の増幅やHER2タンパクの過剰発現を定量や定性により数値化することで判定および評価するもので、基本的にDNAレベルでの遺伝子増幅に伴って起きている変化を検査するものである。また、予後予測と治療効果予測の両面から重要視されている検査でもある。

現在、日本で染色可能な、主なHER2検査におけるin situ hybridizationISH法) 法は3つあり、保険収載が可能なFluorescent in situ hybridization(FISH)法、色素を用いて発色させ、光学顕微鏡で観察が可能なChromogenic in situ hybridization(CISH)法、銀を用いて発色させ、光学顕微鏡で観察が可能なSilver in situ hybridization法(SISH)の3つになる。

HER2検査はがん細胞を対象にして行われる検査で、基本的にDNAレベルでの遺伝子増幅に伴って起きている変化を検査するものである。

遺伝子検出測定法であるFISH法は、免疫組織化学的方法に比べ特異性も高く、蛍光標識したDNAプローブと同定した染色体上のターゲットとするDNAをハイブリダイゼーションすることにより、蛍光顕微鏡下で可視化し判定を行う検査法である。

固定方法は10%中性緩衝ホルマリンで固定(通常の10%ホルマリンは使用不可)、固定時間は24~48時間厳守。4~6μmの厚さのパラフィン切片を使用。病理学検査としては、免疫組織化学的方法と蛍光色素などを用いたin situ hybridization法があり、検査項目としては、前者の免疫組織化学的方法が大半を占めているが、今回は後者のFISH法を中心に説明していく。


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