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(泌尿器)   とくに尿細胞診において

九十九葉子(大森赤十字病院)


細胞診検体処理、殊に尿や体腔液などの液状検体の処理についての技術的工夫は多種多様であり、施設による特徴があると思われる。

尿細胞診は、尿路上皮系病変におけるスクリーニング・診断、治療の効果判定、術後経過観察などに欠かせない検査である。

2005年4月には、細胞検査士会から「泌尿器 細胞診標本作製マニュアル」が発行されたが、施設ごとの検体搬入方法の相違などにより、標準化は困難な状況である。

しかし、より多くの細胞をスライドガラス上に載せること、細胞形態の保持および標本作成者による個人差がないことなど、各施設で検討され実施していることと思われる。

「泌尿器 細胞診標本作製マニュアル」では、尿細胞診の検体処理法として、
① 遠心法(引きガラス法、すりあわせ法)
② 遠心直接塗抹法(オートスメア法、サイトスピン法)
③ 直接法(フィルター法シンレイヤー法、シンプレップ法)
④ 2回遠心法(細胞保存液添加法)が挙げられている。

各処理法による長所・短所や細胞像の違いなどについては、さまざまな検討がなされている。

回収される細胞量の多さでは、フィルター法が優れているとされているが、コスト高となる。シンレイヤー法、シンプレップ法では自動処理装置が必要である。一方、安価な引きガラス法では、細胞の形態保持は良好であるものの手技による差が生じ、すりあわせ法では場合により細胞の坐滅をきたすなど、一長一短である。

今回の発表では、当院で日常行っている、すりあわせ法と、細胞保存液を添加した2回遠心法における検体処理のポイント、および細胞像の違いを中心とし、その他の処理方法と細胞像の特徴について述べたい。


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