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パラフィン切片を用いたmRNAを標的としたISH法の実際

佐藤雄一1),長塩 亮1),蒋 世旭2),岡安 勲2)
1)北里大学医療衛生学部遺伝子検査学教室
2)北里大学医学部病理学教室


 免疫染色は病理検査室でのルーチン検査のみならず,様々な分野の研究にも応用されている.一方,In situ hybridization(ISH)法は同じ組織化学的方法であるが,手技が複雑と考えられていること,組織切片上でのmRNAの保持は難しいと考えられていること,RNase freeの環境を作る必要があると考えられていることなどから,ウイルスDNA, RNAやribosomal RNAを標的としたISH法以外は,一般的には普及していないのが現状である.しかし,ポストゲノムの時代に入り,今後は同定された遺伝子の機能が広く研究されるようになって行くことと思われる.そのような時には特定の正常,病変組織における目的の遺伝子の発現細胞や分布,その頻度などを同定することは非常に重要になってくる.現在,cRNAプローブの導入や高感度な検出方法の開発等により,少量のmRNAの発現を個々の細胞レベルで明瞭に捉える技術が数多く報告されている.当研究室でも病理検査室で10~15%ホルマリン固定・パラフィン包埋された病理長期保存材料で発現量が少ないmRNAの検出をISH法で行っている.ISH法の利点は抗体が入手できない場合や,目的の分子が分泌タンパク質である場合,さらにはpost transcriptional regulationを受けている分子の発現を検討する場合にはISH法が唯一の同定方法となる可能性もある.このワークショップでは当研究室で行っているmRNAを標的としたISH法について,病理長期保存材料,培養細胞など固定状況の違う組織・細胞におけるmRNAの同定方法を中心に解説する.


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