■ プログラム

HOME > 例会抄録 > 第70回病理技術研究会 > ホルムアルデヒド吸着剤SmellgetRの吸着特性について

ホルムアルデヒド吸着剤SmellgetRの吸着特性について

木村文一1)、河村淳平1)、鴨志田伸吾2)、鈴木文子1)、桑尾定仁1)
東大和病院病理細胞診断科1)
藤田保健衛生大学医学部第一病理学講座2)


【目的】病理検査では10~15%濃度のホルマリンを固定目的で使用しているが、ホルマリンガスは人体に与える影響が強く、喉や目の痛みを起こし、業務に支障をきたすことがある。排気をはかるもののリアルタイムで発生するホルマリンガスへの暴露は避けえない。このためホルムアルデヒド吸着剤であるSmellgetRの導入を考え、その吸着特性を検討した。
【材料および方法】吸着効果を明確にする為、SmellgetRの原液であるホルム用及びゲル用エマルジョン(以下、ホルム用及びゲル用)を用い、10%中性緩衝ホルマリンに対する以下の測定実験を行なった。ホルマリンガス濃度は検知管(GASTEC社製、No.91)を使用した。実験1.各エマルジョンと緩衝ホルマリンを混合した後のホルマリンガス濃度。実験2.ホルムマリンガスにエマルジョンを噴霧した後の残留ホルマリンガス濃度。実験3.エマルジョン含浸乾燥濾紙を使用した場合のホルマリンガス濃度。
【結果】実験1. 混合直後のホルマリンガス濃度は110ppmであったが、経過に伴いホルム用では40ppm、ゲル用では50ppmへと低下した。実験2. ガス濃度の初期値がホルム用と対照の蒸留水で100ppm、90ppmであったが、噴霧直後には60ppm、60ppmに減少した。経過に伴い、ホルム用ではさらに低下し50ppmとなったが、蒸留水では80ppmに再上昇した。一方、実験3. ガス濃度の初期値は80ppmあったが、経過に伴いホルム用では25ppm、ゲル用では30ppmにまで低下した。
【結語】以上の測定実験によりSmellgetRのホルマリンガス吸着能が証明された。また、一度吸着したホルムアルデヒドを再解離することなく吸着を持続することも確認された。ホルマリンガス吸着剤であるSmellgetRは、検査室内での作業環境の改善に対して有効であると考えられ、現在具体的な活用法を検討中である。


例会抄録一覧へ戻る