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中西陽子
日本大学医学部病理学教室

　レーザーマイクロダイセクション法は，形態学的解析にもとづいて，検索対象とした細胞がもつ機能の分子生物学的解析を行うことを可能とした応用範囲の広い技術です．例えば，レーザーマイクロダイセクション法とリアルタイムRT-PCR（reverse transcription-polymerase chain reaction）法を組み合わせることにより，様々な細胞が混在する組織から検索対象とする細胞のみを回収してRNAを抽出し，定量的な遺伝子発現解析を行うことができます．今回は，乳癌の凍結組織におけるHER2 mRNAの発現量と，通常の免疫組織化学によるHER2蛋白発現の結果を比較した結果をもとに，レーザーマイクロダイセクション法の実際，マイクロダイセクトした微量検体からのRNA抽出ならびにcDNA合成を行う際の注意事項，TaqManプローブを用いたリアルタイムRT-PCR法などの遺伝子解析技術を中心に報告します．この検討では，数年前に凍結保存された検体であってもｍRNAの発現定量解析を行うことができるRNAの品質を保持していることがわかりました．また，各検体で発現していたHER2 mRNAの値を標準化して，通常行われている免疫組織化学によるHER2蛋白発現と比較した結果についても報告します．

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